竹のある暮らし

ここ山ノ内町に3月にやってきて、竹細工がきっかけで独特の交友関係が生まれている。同年代の知り合いというのが、職場以外では全くいなくて、知人は皆竹細工をやっているおじ(い)さん、おば(あ)さんである。

先週、同じく県の伝統工芸品である「信州打刃物」の鍛冶屋さんたちとの、15名ほどの宴会が開かれた。僕も参加させてもらったが、60歳より下の人は僕以外にいなかったように見えた。

さて、新しい編み方を教えていただいた。基本の六つ目編みの応用で、私の先生が「かえし」と呼んでいる編み方だ。上に向かって六つ目に編んだ竹ひごを、180度ねじり、再び下へと編みこんでいく。網み目が六つ目編みより密で、ひし形を基調とした上品な模様だ。

180度竹をねじって折り曲げるので、繊維に弾力のある若い根曲竹を使わないと、この編み方は難しい。苦竹などでこの編み方をすると、裂けたり折れたりしてしまう。

下の写真が私の作った「かえし」の籠だが、未熟で直したい点がいくつもある。ちなみに後で持ち手を付けようと思っている。


創作意欲に駆られ、近所のホームセンターで買った竹(おそらく苦竹)でも籠を作ってみた。太さ3、4センチの竹が、1mで50円、1.5mで60円で売っている。ナタで12等分に割り、同じように皮を剥ぎ、水につけて柔らかくしてから編む。

「かえし」の籠を作ろうとしたら、ものの見事に裂けたり折れたりしたので、諦めた。大きめのシンプルな籠になった。


この記事のタイトルは「竹のある暮らし」にした。家に帰ると、部屋には竹ひご、作りかけの籠、作り終えた籠、そして購入したアンティークの竹細工(もちろん物を入れて使っている)が並んでいる。大量生産品ばかりの無機質な家具が並ぶ空間では、やはり趣きに欠ける。竹の容れ物のある空間は、とても居心地がいい。

コメント

このブログの人気の投稿

「書道八段」は大した称号じゃない

「55個の母音を持つ言語」というギネス記録は間違いである

「お腹と背中がくっつくぞ」の勘違い