投稿

7月, 2015の投稿を表示しています

竹のある暮らし

イメージ
ここ山ノ内町に3月にやってきて、竹細工がきっかけで独特の交友関係が生まれている。同年代の知り合いというのが、職場以外では全くいなくて、知人は皆竹細工をやっているおじ(い)さん、おば(あ)さんである。 先週、同じく 県の伝統工芸品 である「信州打刃物」の鍛冶屋さんたちとの、15名ほどの宴会が開かれた。僕も参加させてもらったが、60歳より下の人は僕以外にいなかったように見えた。 さて、新しい編み方を教えていただいた。基本の六つ目編みの応用で、私の先生が「かえし」と呼んでいる編み方だ。上に向かって六つ目に編んだ竹ひごを、180度ねじり、再び下へと編みこんでいく。網み目が六つ目編みより密で、ひし形を基調とした上品な模様だ。 180度竹をねじって折り曲げるので、繊維に弾力のある若い根曲竹を使わないと、この編み方は難しい。苦竹などでこの編み方をすると、裂けたり折れたりしてしまう。 下の写真が私の作った「かえし」の籠だが、未熟で直したい点がいくつもある。ちなみに後で持ち手を付けようと思っている。 創作意欲に駆られ、近所のホームセンターで買った竹(おそらく苦竹)でも籠を作ってみた。太さ3、4センチの竹が、1mで50円、1.5mで60円で売っている。ナタで12等分に割り、同じように皮を剥ぎ、水につけて柔らかくしてから編む。 「かえし」の籠を作ろうとしたら、ものの見事に裂けたり折れたりしたので、諦めた。大きめのシンプルな籠になった。 この記事のタイトルは「竹のある暮らし」にした。家に帰ると、部屋には竹ひご、作りかけの籠、作り終えた籠、そして購入したアンティークの竹細工(もちろん物を入れて使っている)が並んでいる。大量生産品ばかりの無機質な家具が並ぶ空間では、やはり趣きに欠ける。竹の容れ物のある空間は、とても居心地がいい。

「み」の由来は「升」?――今までで一番バカバカしかった本

ある日のとある大学図書館にて、いつものように書架の間をブラブラしながら、何の気なしに本を眺めていたときのこと。ふと手にとったハードカバーの洋書を開いてみて、自分の目を疑った。 その本は日本の文字、主に平仮名と片仮名の入門書で、1ページに1つの仮名が割り当てられていた。それぞれの仮名には、書き順などとともに、ページの下部に「その仮名の元となった漢字」も添えて載せられていた。しかし、びっくりしたことに、その漢字がどうしようもないほどに見当外れだったのだ。ギャグではない、大まじめに書かれた立派な作りの本なのにである。 なんと、「あ」の由来は「却」!? 「イ」の由来は「丁」!? いやいや、「あ」は草書の「安」、「イ」は「伊」のにんべんが由来ですから。 下に、その本に掲載された滅茶苦茶な「仮名の字源」を一覧にしたので、ご覧頂きたい。 平仮名 ん 人 わ 朽 ら 弓 や 弔 ま 去 は 伎 な 扱 た 左 さ 包 か 加 あ 却 ゐ 肋 り 旧 み 升 ひ 廿 に 仇 ち 古 し 匕 き 吉 い 心 る 召 ゆ 功 む 劫 ふ 与 ぬ 奴 つ 刀 す 可 く 又 う 占 ゑ 煮 れ 孔 め 女 へ 入 ね 切 て 凡 せ 世 け 付 え 之 を 右 ろ 石 よ 丈 も 屯 ほ 任 の 内 と 巴 そ 乞 こ 己 お 拘 片仮名 ン 小 ワ 匂 ラ 万 ヤ 千 マ 々 ハ 八 ナ 寸 タ 匁 サ 丹 カ 力 ア 乃 ヰ 牛 リ 刑 ミ 杉 ヒ 亡 ニ 二 チ 子 シ 斗 キ 中 イ 丁 ル 丸 ユ 互 ム 公 フ 了 ヌ 叉 ツ 少 ス 久 ク 刃 ウ 向 ヱ 互 レ 乙 メ 〆 ヘ 入 ネ 永 テ 云 セ 也 ケ 万 エ 工 ヲ 弓 ロ 口 ヨ 当 モ 毛 ホ 木 ノ メ ト 上 ソ 夕 コ 四 オ 才 本書に従うと、「ケ」と「ラ」は両方「万」から、平仮名の「へ」と片仮名の「ヘ」は両方「入」から、「ユ」と「ヱ」は両方「互」から、「ら」と「ヲ」は両方「弓」から派生したことになってしまう。「々(マ)」、「〆(メ)」に至っては、漢字では

アレックス・カー『美しき日本の残像』

イメージ
アレックス・カー(2000)『美しき日本の残像』朝日文庫 おすすめ! 特に、著者の幼少期の日本への憧れ、日本留学、そして徳島県祖谷(いや)での民家再生譚が綴られる最初の2章では、私は興奮しながらページを繰った。これほどまでに日本を愛し、これほどまでに日本を憎む外国人は少なかろう。日本文化を再考させる良エッセイ。