自転車に乗ると歌い出します
自転車に乗ると、気づかぬうちに歌を歌っている。
という事実に、本当につい最近気づいた。はて思ってみると、いつからともなく、確かにいままでずっと自転車に乗りながら歌を口ずさんでいたような気がするのだけれども、自転車を降りると歌っていたことをきれいさっぱり忘れてしまっていたので、普段、このことに全く気づいてなかった。だけどどうやら、私は自転車に乗っているあいだじゅう歌を歌っているらしいのである。
自転車に乗ると自動的に歌い出す。ふとそう気づいたのは、ほんのここ10日くらいだと思うのだ。
歌うのは、無意識なのである。自転車に乗ると、気がつけば何かしらの歌を歌っている。最近聞いた歌で気に入っているものを歌うことが多いけれども、必ずしも歌詞があるものだけではなく、インストゥルメンタルのときもある。極端なのになると、クラシックになる。スメタナの「わが祖国」とか。それに、特に好きでもないけれども頭に浮かんだので歌っているときもあれば、何ヶ月、何年と聞いていない歌を歌っているときもある。童謡の「サッちゃん」とか。
誤解の無きよう申し添えておくが、「歌う」のではない。そんな意識はいずこにもないのである。「歌っている」のである。頭のなかで無意識裡に選曲がなされ、無意識裡に口ずさんでいるのである。歌おうと思って歌い始めているのではない。同様に、やめようと思って中断できる性格のものでもないのである。
乗っているあいだ、もちろん自分が歌っていること自体は意識に上るのだが、自転車を降りるとその記憶はどこかに消える。「あれ、おれ自転車に乗るたびに歌ってる」と気づいたのは、普段のときではなく、ある日自転車に乗っているときだったと記憶している。
自転車にまたがると、無意識にスイッチが入って歌い出す。降りると、スイッチは勝手に切れている。
そう、さしずめバイクに乗ると人格が変わる「こち亀」の本田速人のように。
そう、さしずめ地元に帰ると方言で喋れるけど東京に来てみるとなかなか方言が出ない人のように。
音楽に「取り憑かれている」といった自覚は持っていない。別段音楽が好きなわけではないのである。私が積極的に音楽を聞くのは、パソコンでYoutubeとかを見るときだけで、イヤフォンを付けて聞くようなポータブルの再生機のたぐいは実は何一つとして持っていないのである。
晴れている日にはますます朗らかに歌ってしまいたくなる、というようなこともない。曇りの日でも、サドルにまたがっているという条件さえ整ってしまえば歌うスイッチはひとりでにオンになるのである。自転車が進んでいなくても、信号待ちのときでも歌っている(と思う)。(ただし雨が降っているときは、さすがにそちらに気が向いているので歌わない気がする。)
自転車に乗ったときから降りるときまで、音楽が鳴り止まない。友達と一緒に自転車を漕いでいるときも、話しているときはもちろん音楽は流れないけれども、例えば私の自転車が先行していて話す相手がいないような場合、小声で歌っている。
実害がない以上別に治そうとも思わないので、もう何かの発作か、条件反射だと思うようにしている。
――
私と同じような「症状」を持つ人はいるのだろうか。
と思い、今日ためしに「自転車に乗ると 歌う」で検索してみた。
少数だけれども、普通にヒットした。なーんだ、と思う一方、納得の行くような説明はどこにも書いていない。しかも、私と同じようにひとりでに歌い始めて条件反射的に歌ってしまう人はちょっと見る限りいなそうだ。同じような経験を持つ方、いたらぜひコメントを。
こういうことを記事にしてしまう当たり、オリバー・サックスの影響かな。
という事実に、本当につい最近気づいた。はて思ってみると、いつからともなく、確かにいままでずっと自転車に乗りながら歌を口ずさんでいたような気がするのだけれども、自転車を降りると歌っていたことをきれいさっぱり忘れてしまっていたので、普段、このことに全く気づいてなかった。だけどどうやら、私は自転車に乗っているあいだじゅう歌を歌っているらしいのである。
自転車に乗ると自動的に歌い出す。ふとそう気づいたのは、ほんのここ10日くらいだと思うのだ。
歌うのは、無意識なのである。自転車に乗ると、気がつけば何かしらの歌を歌っている。最近聞いた歌で気に入っているものを歌うことが多いけれども、必ずしも歌詞があるものだけではなく、インストゥルメンタルのときもある。極端なのになると、クラシックになる。スメタナの「わが祖国」とか。それに、特に好きでもないけれども頭に浮かんだので歌っているときもあれば、何ヶ月、何年と聞いていない歌を歌っているときもある。童謡の「サッちゃん」とか。
誤解の無きよう申し添えておくが、「歌う」のではない。そんな意識はいずこにもないのである。「歌っている」のである。頭のなかで無意識裡に選曲がなされ、無意識裡に口ずさんでいるのである。歌おうと思って歌い始めているのではない。同様に、やめようと思って中断できる性格のものでもないのである。
乗っているあいだ、もちろん自分が歌っていること自体は意識に上るのだが、自転車を降りるとその記憶はどこかに消える。「あれ、おれ自転車に乗るたびに歌ってる」と気づいたのは、普段のときではなく、ある日自転車に乗っているときだったと記憶している。
自転車にまたがると、無意識にスイッチが入って歌い出す。降りると、スイッチは勝手に切れている。
そう、さしずめバイクに乗ると人格が変わる「こち亀」の本田速人のように。
そう、さしずめ地元に帰ると方言で喋れるけど東京に来てみるとなかなか方言が出ない人のように。
音楽に「取り憑かれている」といった自覚は持っていない。別段音楽が好きなわけではないのである。私が積極的に音楽を聞くのは、パソコンでYoutubeとかを見るときだけで、イヤフォンを付けて聞くようなポータブルの再生機のたぐいは実は何一つとして持っていないのである。
晴れている日にはますます朗らかに歌ってしまいたくなる、というようなこともない。曇りの日でも、サドルにまたがっているという条件さえ整ってしまえば歌うスイッチはひとりでにオンになるのである。自転車が進んでいなくても、信号待ちのときでも歌っている(と思う)。(ただし雨が降っているときは、さすがにそちらに気が向いているので歌わない気がする。)
自転車に乗ったときから降りるときまで、音楽が鳴り止まない。友達と一緒に自転車を漕いでいるときも、話しているときはもちろん音楽は流れないけれども、例えば私の自転車が先行していて話す相手がいないような場合、小声で歌っている。
実害がない以上別に治そうとも思わないので、もう何かの発作か、条件反射だと思うようにしている。
――
私と同じような「症状」を持つ人はいるのだろうか。
と思い、今日ためしに「自転車に乗ると 歌う」で検索してみた。
少数だけれども、普通にヒットした。なーんだ、と思う一方、納得の行くような説明はどこにも書いていない。しかも、私と同じようにひとりでに歌い始めて条件反射的に歌ってしまう人はちょっと見る限りいなそうだ。同じような経験を持つ方、いたらぜひコメントを。
こういうことを記事にしてしまう当たり、オリバー・サックスの影響かな。
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