先進国ではなく、発展途上国の人へ:『世界を変えるデザイン』

文字びっちりの600余ページの本の後なので、読むのは軽い軽い。

Cinthia Smith. Design for the Other 90%. 2007.
世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある [単行本(ソフトカバー)] / シンシア スミス (著); 槌屋 詩野 (監修); 北村 陽子 (翻訳); 英治出版 (刊)

世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある [単行本(ソフトカバー)] / シンシア スミス (著); 槌屋 詩野 (監修); 北村 陽子 (翻訳); 英治出版 (刊)

「世界を変えるデザイン」という邦題だが、原題の「Design for the Other 90%」の方が本書の内容を汲み取りやすい。私を含め先進国の裕福な人々が享受してきたデザインというものを、世界の全人口の90%を占める貧困層にも提供されるべきだというのが本書の趣旨だ。

もちろんこの2つのデザインの次元は全く違う。美しさを追求するいわゆるデザインに対して、人々を貧困から救うことを目的としたデザインは、きわめて安価で、丈夫で、収入に直結しなければならない。例えば、農業廃棄物から炭を作れば森林破壊を防げるし、その炭を売ることもできそうだ。水を「転がして」運べば、水汲みの負担を軽減できる。本書はこうした事例を数多く紹介している。

私は先進国のデザインの概念を以って本書を手にとったので、少々予想と内容は違ったが、極貧層への支援の厳しさと難しさを知った。ICUにも開発学の専攻があることだし、入門のコースでも取ってみるのもいいかもしれない。

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