池澤夏樹の「スティル・ライフ」を読んだ

1987年に芥川賞を受賞した中編小説、スティル・ライフ / 池澤 夏樹 (著); 中央公論社 (刊)を読みました。Still Life は「静物画」という意味です。



アルバイトをしながら実の無い生活を送り、人生の目標を決めかねている主人公と、科学的な話題をよく口にする、バイト先の彼の知り合いとの、不思議な関係が展開します。

大きな感動も波乱も起こらない、しっとりとした空気が流れる小説です。

また、本書所収の「ヤー・チャイカ」も、面白く、もっと不思議なお話。

だけど、やっぱり私には本作のような不思議な小説に対する感受性が弱いようです。作品自体を読むことは楽しいのですが、私にはそのメッセージがつかめません。おそらく作品のせいではなく、私の責任です。川上未映子の「乳と卵」(2003年芥川賞受賞)を読んだ時にも同じことを思いました。

芥川賞を受賞するための要素って、何なのだろう。もっと言えば、純文学って何なのだろう。本作のような小説を読むといつも思います。

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